たちばなし

たち(Twitter:@Tachiazul)の業務用文字置き場。

三国志 Three Kingdomsの3つの魅力

みなさん、こんにちは。たちです。

今年もTCU-CTRL場外乱闘という企画で記事を書かせていただきます。
この記事はTCU-CTRL場外乱闘 Advent Calendar 2020 - Adventar13日目の記事です。
 
 
 
前回の記事はあめふりてる君の「Visual Studio 2019を使ったHSP3用のDLL作成法」でした。
私もC++Visual Studioは使っていますが、DLLを作るなんてことは考えたことも無かったので、こうして敷居を下げていただけると初学者にとってはとてもありがたいですね。視野が広がりました。
 
 

はじめに

 さて、今回私がお話するのは三国志 Three Kingdomsというドラマの紹介です。この記事の主なターゲット層は三国志をよく知らない、現代のあらゆる創作物において、作品やキャラクターの考察を楽しむタイプの人』ですが、それ以外の人もまずは騙されたと思って読んでみてください。
 本記事はそれなりにネタバレに配慮して書きます。そのため、名シーンや見所紹介のような具体的な説明ができず、ふわっとした根拠の薄い論調が続きます。この記事の結論は
三国志 Three Kingdomsを見よう!」
ということなので、どこかしらでそれを感じて頂けたら満足です。
 
 
 本題に入る前に、まずは三国志を全く知らない人向けに簡単に紹介します。三国志とは、中国の後漢末期から三国時代にかけての出来事を、当時の官吏、陳寿が記した歴史書のことです。そして、事実を淡々と記したその三国志を始めとした様々な歴史書から影響を受け、中国明代の作家である羅貫中が書いたとされる小説『三国志演義』があります。今日、我々が目にしているいわゆる『三国志もの』の多くはこの三国志演義をベースに作られています。
 今風に言うと、史実が原作であり、陳寿の書いた三国志がギリギリ原作を名乗れる1次創作、羅貫中三国志演義が2次創作で、現代の三国志ものが3次、4次……n……次創作といったところでしょうか。
 
 
 ここからようやく本題に入ります。三国志 Three Kingdomsの概要からお話ししましょう。当作品は2010年に公開された中国ドラマです。今更私が取り上げて紹介するまでもなくとても有名な作品でして、三国志に関する解説サイトなどでも取り上げられているのをよく見かけます。現在Amazon Prime Videoで全話見られます。
日本での略称は三国志TKらしいですが、私はThree Kingdomsからとってスリキンと呼んでいます。こちらも例によって、羅貫中三国志演義を原作としています。
 これからこのドラマについて私が紹介していくのですが、皆さんこうお思いかもしれません。「なぜ今更三国志を?」「私普段ドラマとか見ないんだけど?」「というか歴史ものに興味無いんだけど?」などなど。私の知る限りでは、我々若者で三国志を履修している人はそう多くありません。知ってても三國無双で遊んだことがあるとかその程度でしょう。めちゃくちゃ偏見ですが、私もそうでした。今更ですがこの記事は、スリキンを見て三国志を知った気になっている三国志ビギナーが書いております。
 そんな私がとあるきっかけによりこの作品と出会うのですが、初見では途中の数話を見ただけで、そこまでハマりませんでした。面白いには面白いのですが、その面白さの理由がわからない。でもおかしなことに、こんなことを思い始めました。
 
「もう一回あれが見たい……」
 
そこからでした。私がスリキンに、ひいては三国志そのものにハマっていくのは……。
 
 

 

 今回は数あるスリキンの魅力を大きく分けて3つ取り上げてご紹介します。こうして他人に何かを印象付けて伝えるには項目数を3つにするのが良いみたいなことを、以前プレゼンの授業でうちの会長から学びましたし、ちょうど『三』国志ですからね。それでは早速参りましょう。
 
 
 
 

スリキンの魅力①

最初から面白いのに、見れば見るほど面白くなる。

f:id:Tachikawa:20201213205931p:plain

 
 現代人をターゲットにしておきながらセールスポイントとして時間がかかる楽しみ方を推すのは、十分な兵糧も持たず孤山に陣を張るくらい最悪の愚策だと思いますが、これは事実なので。
 知れば知るほど深みが増す。時間がかかるというネガティブな見方をするより、長く追い続けることができると考えると、その良さがわかるでしょう。推しを見るために繰り返して見ているうちに新たな発見があって、それによってそれぞれの登場人物の良さがどんどんわかっていくんです。推しがどんどん増えていくんですよ。こういう感覚が好きな人にはぜひともオススメしたいです。もちろん、1回見るだけで十分面白い作品ですからね。
 ちなみに逆ダメ押しとなりますが、こちら、全95話×約40分ありますので、じっくりお楽しみいただけます。
 
 
 
 

スリキンの魅力②

底無し沼のようにさえ思える深みを持たせている公式脚本の解釈力
 

f:id:Tachikawa:20201213211229p:plain

 
 前述したような深みは、作り手の解釈力が受け手の解釈力を上回ったとき、その差として顕現するものです。私が三国志について子供の頃にやったゲームで知った程度の知識しか持ち合わせていない(レッドクリフすら見ていません)ということを差し置いても、当作品は素晴らしい解釈力によって作られているのですよ。それほど奥深いんです。
 少し脱線しますが、本作品は先程も言った通り、三国志演義ベースの脚本となっております。この三国志演義というものを読んだことは無いので下手なことは言えないのですが、一般的な三国志演義のイメージとしては、『劉備諸葛亮のいる陣営(蜀漢)が正義で、曹操軍(魏)が悪』というものです。しかしスリキンは、演義ベースながらも曹操軍を完全なる悪役として描いていません。私が受けた印象としては、どちらが悪いとかは言いにくく、それぞれ別の主張がぶつかり合っているという感じでした(自分が現代人だからこその価値観でもありますが)。三国志やその他歴史書三国志演義などが書かれたそれぞれの時代においても、何が正義かという議論は続きました。三国志演義蜀漢を正義としたそうですが、スリキンは違います。むしろ、それを受け手に委ねているような気さえします。陳寿が書いたという三国志のように、中立に近い描き方をしていると言えるでしょう。その上で新たな解釈や演出も織り交ぜているようで、人によって大切にしているものが違うのだなあということを考えさせられます。みなさんも見て、あれこれ考えてみてください。
 
 
 
 

スリキンの魅力③

今と昔の価値観の違いを楽しめる
 

f:id:Tachikawa:20201213212612p:plain

 
 そうは言っても昔の人が何考えてたかなんて知るかよ。って思うかもしれませんね。でも大丈夫です。このドラマは現代に作られているのですから、やはり現代人向けと言えます。具体的にどういうところが〜というのはあまり言い過ぎるとネタバレになりかねないので言いにくいですが、「現代を知っている人が、三国志の先の未来結末も考慮した上で当時を想像して作った」という感じがします。なぜなら、その時代に生きながらにして、現代でもそのまま通用するような価値観の人物もいるくらいですから。国史でしか味わえないような異文化、時代を感じさせる発言の数々、それらの中でひときわ目立つ現代風の考え方。そういった魅力がたくさん散りばめられており、このジャンルに触れたことが無い方は新鮮に思えるでしょう。故に笑える場面や会話の論理性、合理性なんかも私達に理解できるというか、むしろ共感しまくりで、好きになってしまうんですよ。あまりにも人間らしい登場人物達のことが。
 

f:id:Tachikawa:20201213212600p:plain

 
 
 
 

スリキンの魅力④

動く人間カタログ
 
 おっと。項目数が三国志の三を超えてしまいましたね。魅力まで群雄割拠してしまったということでしょうか。
 みなさん、占いは好きですか?この三国志というジャンル、それにまつわる占いがたっくさんあるんです。かくいう私もいろいろやってみました。
 
 
 

(ほんまか?)
 
 
 三国志関係の占いが多い理由について、根拠はありませんが素人なりに想像してみました。おそらく、三国志そのものが人間カタログみたいなところがあるからだと思うんですよね。なにせ登場人物数がすごいですし。創作だったら登場人物は作者がさばききれる程度にしか出せませんが、三国志は史実ですからね。
 しかしまあ、後世に残された作品は当然ではあるのですが、登場人物を絞っています。さすがにそうしないとボリューム多すぎて受け手も作り手も大変ですからね。スリキンも例に漏れずそうでして、史実では別の人が言ってたことをこの人が言ってる!みたいなのはまああります。その是非は人によって様々でしょうが、それにしたっていろんな人が登場します。そこにはおそらく自分に似た人が1人くらいはいるんですよ。そう感じた人が三国志占いを作ってるんじゃないですかね。
 何が言いたいかというと、それだけたくさんのタイプの人間のサンプルが見られるので、写し鏡や推したい人がやら苦手なタイプの人やら、何かしら自分のフックに引っかかるものがあると思うんです。それが『面白さ』だと思います。
 
 
 
 

スリキンの魅力⑤

人生経験を得られる
 

f:id:Tachikawa:20201213214217p:plain

 
 歴史を学ぶことの意味を知れます。私達は日々、歴史の教訓に助けられています。今日の世界情勢だってそうですし、日々のコミュニケーションで使う言葉すらも歴史の賜物です。有名な故事成語矛盾や蛇足なんかはみなさんご存知だと思います。本作を見ればそれよりもさらに、たくさんの知識を得ることができます。本作ではたくさんの成功や失敗のプロセスとその結果が描かれます。それは時に運次第のこともあります。そういったもの全てを、あたかも自分が経験したかのような経験が得られるのです。たかがドラマで大げさな、と思われるかもしれませんが、私は至って真面目です。スリキンを見れば、ものの道理への理解が深まります。それはきっと、あなたの日常の役に立つでしょう。
 
 
 
 

スリキンの魅力⑥

あらゆる事象は三国志で説明できる
 

f:id:Tachikawa:20201213214541p:plain

 
 半分は豪語ですが、半分はガチです。三国志を知る者同士は、三国志のたとえ話で様々な複雑な状況・事象などを瞬時に理解できるかもしれません。少なくとも、考えをまとめる役には立ちます。「あ、これ三国志のあのシーンと同じじゃん!」ってなるんですよ、本当に!
 ちょいネタバレになりますので、興味がある方だけ見てください。私が三国志を引用した例をツイートでご紹介いたします。
 

これは以前やっていた某スマホゲームに対してのお気持ち表明です。 私の目には運営が消費者の足元を見ている、ふるいにかけているように映り、消費者として誠実なお付き合いが出来ないと思い離れたが、そのゲームのキャラクター自体のことはまだ好きだったと確信を持てた時のツイートですね。

 

 これはそのまんまですね。同じようなネタを繰り返さないでほしいという願いと期待を込めています。本当にお願いします。

 

 
 
 

スリキンの魅力⑦

何十年という話のスケール
 

f:id:Tachikawa:20201213215524p:plain

 みなさんが最近見たり読んだりした作品をいくつか思い浮かべてください。その作品の、作中時間のスケールはいかほどでしょうか。体感ですが、2、3年の間の話の割合が多く、最終話だけ10年後だったりして2世代もので20年ほど、みたいなものが多いと思います。それが悪いというわけではないのですが、スリキンの魅力はそれらとは少し違っています。
 まず、作中経過時間はおよそ70年。この期間を、約40分全95話を使ってじっくりと描写します。お話の面白さというのは人間関係の複雑さやその変化だと個人的には思っていて、それが心ゆくまで楽しめるのが本作なのです。ネタバレに配慮しつつ特筆すべきはやはり、長い年月の間に仲が悪くなってしまう間柄ですね。同じ釜の飯を食った間柄で敵対する……でも、人生って残酷じゃないですか。そういう作品が好きな人には特にオススメです!
 f:id:Tachikawa:20201213215512p:plain
 
 
 
 

スリキンの魅力⑧

役者さんのクオリティ

f:id:Tachikawa:20201213222617p:plain

 このドラマ、役者さんの演技がめちゃくちゃ良いんです。ものすごい剣幕で怒るところ、必死で無表情を貫こうとするところ、わざとおどけるところ、泣いたり叱ったりといった演技をするところ……などなど、どのシーンも登場人物がみんな生きています演技臭さのようなものもありません。
 また、日本語吹き替え音声のクオリティも凄まじいです。みなさんご存知の有名な大御所声優さんも声をあてています。とにかく全体的にクオリティが高く、らしくないですが私も声の演技の良さをきっかけに好きになってしまう文官武将がいたほどです。

f:id:Tachikawa:20201213223111p:plain

 
 
 
 

スリキンの魅力⑨

ドラマとしての完成度の高さ

f:id:Tachikawa:20201213221109p:plain

 脚本からまで小道具まで、全て信頼できる高品質です。もちろん、ツッコミどころもたくさんあるのですが、これだけの規模の作品を、世界を、あたかもその時代にタイムリープして撮影したかのように表現できる団体がこの世界にどれだけあるでしょうか。そういう意味でも、スリキンを見るという体験は、とても貴重でありがたいことだなと、いち創作者の視点からも思えます。これを見て損をすることはないはず!だから見てください!と胸を張って言える作品です。お時間があれば是非、最初の数話だけでも見てください!
 

f:id:Tachikawa:20201213221417p:plain

 
  魅力はまだまだたくさんあるのですが、ネタバレになることは書きにくいですし、あんまり多すぎても何が言いたいのか増々伝わりにくくなってしまいますからね。ブレーキをかけなかったら十八鎮(路)諸侯分書くことになっていたと思います。
 
 
 
 

まとめ

 私達が自分を、アートを、表現する方法は無数にあります。物語作品に絞っても絵本、漫画、映画、演劇、ミュージカル、ボイスドラマ、ゲーム、アニメ等……様々です。その中で、「自分の適正」を優先するのも大事ではありますが、最も良いのは自分が表現したいもの(目的)をより効果的に実現(達成)できる手法を選ぶということです。そして、それを選んだからにはそれである意義があったほうがいいし、あってほしい。そのならではの強みを存分に発揮してほしいものです。
 三国志 Three Kingdomsは、ドラマという媒体だからこそ輝いている作品であり、ドラマの良さを活かしている作品と言えるでしょう。まずドラマの持つ見た目のリアルさの観点からは、漫画やアニメなどとは土俵が違います。ゲーム等でのCG表現は年々進化しているものの、予算等も考えるとリアルにはまだ及びません。次に尺ですが、中国での放送方法などには明るくありませんが、映画だったらここまでの尺が用意できないことは間違いないでしょう。ミュージカルや演劇では広大な自然を使った撮影はできませんし、カットの長さもまるで違いますね。この作品はテレビドラマでないと作れないのです。さらに、役者さんの魅力というのもドラマもとい実写ならでの強みですし、そこのクオリティが高いのですから安心して見てください。
 
 
 
 

終わりに

  結局のところ、私は三国志 Three Kingdomsのリアリティに感動したのだと思います。自分の人生経験や考え方などと重なるところがあったり、自分や知り合いと似ている人がいたりします。それは普段共有しにくいものですから、もととなった史実や作品、このドラマを作った人が自分の考えを理解しているような気さえしたのです。
 そして、やはり何と言っても登場人物の魅力です。能力も性格も十人十色。それは我々が生きる現代も同じです。そこから魅力的な部分がたくさん押し出されて描かれているのです。これが本当に面白くて……人間の魅力を楽しむのであれば時間対効果めちゃくちゃいいので見てください。
 もう一度言いますが、アマプラで全話見られます。少しでも気になった方は是非ともご視聴ください。
 
 
 ここまでお読みくださりありがとうございました。ADC次回は小鳥遊穹くんの記事です。よろしくお願いします。